東京藝術大学大学院染織研究領域1年
成果報告展
「ほらっ!」
河村 春奈/佐藤 有花子/曾斯琴/平山 真心/四本 梓
2020年3月30日から4月4日
※展示中止のお知らせ※
※展示中止のお知らせ※←3/27更新
来週3/30-4/4に予定しておりました東京藝術大学大学院染織研究領域1年成果報告展「ほらっ!」について
当展覧会は、昨今の新型肺炎コロナウィルスの感染拡大防止を考慮し、大変に残念な思いではありますが展示を中止させて頂く事に致しました。
楽しみにされていたご来場者様には大変申し訳ないことではございますが、ご理解ご協力の程を何卒よろしくお願い致します。
成果報告展に寄せて
本展覧会は、東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻染織研究分野1年に在籍中の学生の研究制作成果展である。
展覧会タイトル「ほらっ!」はどういう意図で決めたのか。最近、展覧会の主旨やそれぞれの作品との関連性がどうなっているのか分かりにくく意味不明なものが多い。あえて直接的に発言することを避けているのか。
あらためて「ほらっ!」と自分に言い聞かせつつ、出品者五人、河村春奈、佐藤有花子、曾斯琴、平山真心、四本梓の研究作品を思い浮かべてみる。この学生達は寄せ鍋的な学年で、藝大の学部からの出身は一人、後は多摩美術大学、中国清華大学美術学院、京都市立芸術大学、横浜美術大学である。それぞれの研究テーマ、染織技法・表現も五者五様で、フェルト・刺繍、友禅染二人、ニット・織、スクリーン捺染である。
「ほらっ!」鍋を覗いてみると様々な個性がまだ煮えきれず消化に耐えられない状態で制作にもがいている。まだ、お互いの意思の疎通も固く刺激しあっていないようだ。「ほらっ!」だいぶ環境が熱くなってきた。いい味わいの作品ができそうだ。しかし、まだまだ甘い、少し塩でも入れて引き締めるか。少し注意した方がいいらしい。あまりきつく指導すると素材が溶けてしまいそうだ。
個々の個性を生かす指導は難しい。より良い教育環境作りをしなければいけない我々教員の責任も大きい。私は、人は環境によって育つと信じている。しかし、個々が自分の制作に対する意識をしっかり持ってその環境づくりの一員であることを忘れてはいけない。お互いがプラスの連鎖に染まっていきたいものだ。一年後素晴らしい寄せ鍋になっていることを期待している。みんないい素材なのだから。
「ホラッ!」まだみんなもがいている。
厳しいご指摘と暖かい視線でご高覧いただければ幸甚である。
東京藝術大学美術学部工芸科
染織研究室 教授 上原利丸