増田 麻由 個展
Mayu Masuda Solo Exhibition
まだつめたいかぜのふくあさに
はるのおとずれをかんじるひざしが
へやにふりそそいだ
6月19日(月)〜6月24日(土)
11時30分〜19時30分[最終日16時]
私たちは、人間が作った社会の中で生活しながら自然と共存しています。
科学技術の発展が著しくたくさんの情報が交錯する、そんな現代に生きる私たちは、
目まぐるしく変わっていく状況に敏感に反応して対応しながら時には目を瞑り、耳を塞ぎ、取り巻く環境から距離を置く。そんな生活を送る中で、個が自然に感じる刹那的で、繊細で、複雑な心象の変化に耳を傾けることさえも忘れそうになります。
現代社会を生きることの違和感と、それによって沸き起こった心の声を、そっと木に宿して制作しています。
地球からエネルギーを浴びて生える「木」は長い時間をかけて成長し、ただ佇み、私たちの忙しない日常を忘れさせてくれる素材です。
素材の中に潜む強さと自然の流れを忘れないように、彫刻作品を制作しています。
あるときはのびやかに、あるときは不自由に絡み合う手足は、どんなに環境が変っても普遍的な人間の感情を予感しています。
今回は、「ITO」という2つの作品を作るきっかけとなった日の記憶を展示します。
「ITO」は人間同士が複雑に絡み合う様を表した作品です。
孤独からの解放と、その先現れるであろう複雑な感情を予知して。
2月のまだ肌寒い日、私は冷たい風の吹く中、これから沸き起こる感情も知らず、歩き慣れた道を歩いた。部屋に入ると石油ストーブが体を温めた。床にそっと腰掛け横になる。
大きな窓から春の訪れを感じる日差しが部屋に降り注いだ。暖かい光は私を包み込み、心の滞ったところをゆっくりと温める。じんわりと雪が溶けて、大量の水が全身に流れ出した。
匂いを嗅ぐと気持ちが揺れる、優しい寝息を聞くと安心する。
優しい瞳に惹きつけられる。
どんなに時間を重ねても、近づきたいと思う程に遠くに感じるその存在に
魅せられ、繋がって、揺らされ、響き合い沸々と動き出す感情の絡まりを、心踊るざわめきを、魂の行方をここに記そう。
増田麻由
増田 麻由 Mayu Masuda
[経歴]
2020年 女子美術大学博士前期課程終了
2017年
- 「JOSHIBISION2016 -アタシの明日-」出展
2019年
- SICF18 出展(spiralホール/表参道)
- 増田麻由古熊美帆二人展「繭」
- 第104回二科展(国立新美術館/乃木坂)
2020年
- 東京五美術大学連合卒業・修了制作展(六本木・国立新美術館)
- 「未来への彫刻展」横浜高島屋出展
- 100人10
2021年
- 未来(あす) への木彫展(横浜髙島屋/京都髙島屋)
- 3人10(シンワアートミュージアム 銀座)
2022年
- 二科春季展(東京都美術館/上野)
- WOod is ODyssey(天王洲セントラルタワー)
- 増田麻由個展「in my eyes, in my soul」(RAartGallery/横浜)
- Star-t(RAartGallery 横浜)
2023年
- 「GINZA COLLECTORS CLUB」(銀座蔦屋書店/銀座)
- 増田麻由個展「before the night comes」(銀座蔦屋書店/銀座)
[受賞歴]
2018年 優秀作品賞受賞
2019年 彫刻の森美術館奨励賞
2021年 Shinwa ARTEX賞